海外旅行前夜、手元にパスポートが無かった話

海外旅行前夜、手元にパスポートが無かった話
これは私が大学生の頃に行った卒業旅行の話である。多分自分の人生で一番ありえない事件なのでなんとなくブログに残しておくことにする。

卒業旅行前夜

卒業旅行の前日、卒業後、実家近くに就職が決まっていたので一人暮らししていたアパートを引き払い、一緒に卒業旅行に行く友人の家に泊まらせてもらっていた。ちなみに大学は東京にあり、実家は兵庫県である。

卒業旅行の行き先はマレーシアのランカウイ島というところでビーチリゾートながらまだ開発がそこまで進んでおらず知名度が低かったからか結構安く行けるという理由でそこにした。
大学の仲間4人でいく計画になっていて大体全部自分とその泊めてくれた友人で計画した。

そして、前夜祭的な前泊で明日は朝早いから夜のうちにちゃんと準備しようと持っていくものをチェックしていたわけだが友人の「パスポート入れたよな?」の一言に完全に目の前が真っ白になった。
パスポートの記憶をたどった結果、HISに提出するパスポートのコピーを取るため使ってその後スーツの胸ポケットに入れたのを思い出したからだ。
スーツは実家へ送る荷物に入れてある…もはや絶望的なのだが一応荷物の伝票から電話をして営業所に取りにいけないか確認。予想通りすでに高速道路を西に向け走っているとのことだった。

もはや翌日に迫った成田空港からの旅行には間に合わないことが確定していると言っていいだろう。

友人とどうするかを話し合った結果、諦めてキャンセルするか、それとも実家へ戻り、自分ひとりだけ関空から直接現地へ行き、1日遅れで合流するか?の2パターンしか無いという結果に。
流石に一生に一度の卒業旅行をキャンセルするという選択肢は無い!ということで翌日友人が成田空港へ行くのと反対方向の関西に向けて新幹線に乗り込み、実家へ到着。テレビではソチ五輪で荒川静香が完ぺきな演技をして金メダルを獲得している模様が流れていた。

普段はタバコなど吸わないのだがこの日ばかりは焦らないようにひたすらマイセンを吸い続けていたのを覚えている。

航空機チケットを買う

実家に予定通り届いた荷物のスーツからパスポートを取り出し、ちゃんとあることを確認したあと近所の旅行代理店に電話をしてランカウイ島へのチケットを取る。関空からクアラルンプールを経てランカウイへ飛ぶ便がちゃんとあることは前日の夜の時点で調べてあった。指定銀行にお金を振り込んで購入完了。関空でチケットを受け取る手はずとなった。

マレーシアへ出発

翌日の朝の便で関空からマレーシアに出発。この時、関空でマレーシアのお金であるリンギットに両替しようとしたのだが出来なくて何故かドルに両替したのを覚えている。マレーシアではドルも円も同じようなもんなのに…。

そして飛行機に乗っていざクアラルンプールへ。
飛行機の機内はガラガラでエコノミーだけど隣誰もいないしみんな適当に横になっていたので狭さも感じないままあっという間にクアラルンプールへ到着した気がする。なんか途中で入国審査の用紙を渡されたけどよくわからんくて客室乗務員に聞いてみたけどマジで英語わからなすぎて諦めた。結局入国審査で止められることもなく大丈夫そうだった。後で気づいたけどHISで旅行前にもらった冊子に書き方がちゃんと書いてあった…。まぁトラブらんかったしええか。

クアラルンプールでは乗り換えなのによくわからんまま電車みたいなのに乗ってみんなについていったら空港から出ちゃって、変な外人にうちのホテルに泊まれみたいなことを言われまくるがひたすら「トランジット!」と断り続ける…なんで出ちゃったんだろう…。

面倒だがチケットを見せてまた中にはいって国内線の出発口へ。
さぁあとはランカウイへ行くだけやと椅子に座って待っていたが全然人が来ないし、飛行機も到着しない…いやもう15分ぐらい前なのに来ないのおかしいやろって思って案内板を見たら違う出発口に変わったよ!時間も変わってるよ!みたいなことが書かれている…。マジか…時間が後ろにずれてなかったらやばかったなって思いながら急いで出発口へ向かい何とか乗れた。

ランカウイ島へ到着

そして国内線に1時間ぐらい乗ってランカウイ島の空港に到着!
タラップを降りるがマジ熱帯の暑さがすごい!3月の日本から急に8月の日本に来たぐらい気温差激しかったが、この時はたどり着けた喜びに満ちていた。

空港から友人たちが泊まっているホテルへはタクシーに乗ることにして運ちゃんに行き先を告げてGO。運ちゃんの息子が日本に留学しているとかでやたら日本人の自分に話しかけてくるがほぼ英語わからん。何とか30分ぐらい片言の英語でコミュニケーション取ったような取れてたのかわからんような感じで無事到着!到着が嬉しすぎて運賃倍ぐらい払って釣りはいいぜ!って言っちゃって後から2000円ぐらい多かったな…と反省。まぁすでに新幹線代やら関空までの料金やら無茶苦茶損失は出しているので今更だが。

ピンチ!ホテルの部屋が空いていない!

ホテルに入ったものの友人とは連絡が取れていないのでとりあえず部屋空いてんのか?聞いてみる。HISの方は結局キャンセルになってるので部屋も後から取り直さんとあかんからや。

ロビーで聞くとどうやら今日は部屋が一つも空いとらんよって言われた。まずいなとは思ったが友人が泊まっとるはずやからその部屋に泊めさせてって言ってたらちょうど晩飯を食いに友人たちがロビーにやってきた。
今のように海外でもシムを入れ替えてスマホが使えるという時代では無かったので連絡が取れないというハンデの中、このタイミングで上手く会えたのはマジで奇跡だと言うしか無い。

結果、友人たちの部屋に簡易ベッドを置いてそこに宿泊という形なら一泊2500円程度の料金で泊まれるよって言われてお金を払って無事マレーシア卒業旅行が開始できたのであった。

その後はナイトマーケットへ美味い物食いまくったり、船をチャーターして釣りしてみたり、ビーチで泳いでみたりと友人たちと普通に楽しく南の島を堪能して帰ったのであった。

この経験から人生無理やと思ってもなんやかんやで割となんとかなっちゃうってことを学べたのである。

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